分析結果の公表

■運動部活動の活動時間と学力には「弱い負の相関」あり
                           2020.2.15 長沼豊

 

【分析結果の概要】
●47都道府県別の中学生の運動部活動の活動時間と学力・学習状況調査の結果を比較分析したところ、相関係数は-0.29778で「弱い負の相関」であった。つまり運動部活動の活動時間が長いほど学力が低い、学力が高いほど部活動の活動時間は短いという傾向があることがわかった。

●部活動の活動時間の長い10道県のうち9道県は学力が中位か下位となっている。つまり運動部活動の活動時間が長い都道府県は、学力が上位にはなっていない傾向にある。
一方、学力の高い9都県のうち8都県は部活動の活動時間が中位か下位(短い方)となっている。つまり学力が高い都道府県は、運動部活動の活動時間はそれほど長くない傾向にある。

○関連して、東日本と西日本(※)の別に、1週間当たりの部活動の活動時間の平均値を算出したところ、東日本が790分、西日本が825分であり、西日本の方が35分長かった。このことから、運動部活動の活動時間の長さは「西高東低」であることがわかる。西日本の方が日の入りの時刻が遅いため長く活動できるのであろう。
※東日本は北海道・東北・関東・中部の23都道県
 西日本は近畿・中国・四国・九州沖縄の24府県

 

⇒分析結果の詳細(本文)は下記のPDFファイルに記載

 

運動部活動の活動時間と学力の相関関係分析結果 長沼 .pdf
PDFファイル 764.8 KB

【分析方法】
運動部活動の活動時間については、スポーツ庁「令和元年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果」(2019年12月23日発表)の都道府県別、男女別データから対象生徒数を根拠に平均値を算出した。対象は中学2年生である。
 学力については、文部科学省「平成31年度(令和元年度)全国学力・学習状況調査の結果」(2019年7月31日発表)の都道府県別に公表された国語・数学・英語の平均正答率の平均値を算出した。対象は中学3年生である。
 両者の47都道府県別の数値を分析の対象として相関係数を求めグラフ化した。また各々の上位・下位の10都道府県の状況を調べた。
 また、念のため2019(平成31・令和元)年度の学力(中学3年生)と、2018(平成30)年度の運動部活動の活動時間(中学2年生)でも考察した(比較対象が同一生徒になるため)。