夢の実現

 

 平成25年、2013年4月。
 学習院大学文学部に教育学科が誕生します。本学では16番目の学科になります。
 私が発案、3年前から準備を進めてきました。さまざまな苦労がありましたが、それは別の機会にします。

 

 約30年前のことになります。
 私が高等科から大学への進学を考えていた時、学習院大学に教育学科はなく、小学校の教員免許は取得できませんでした。残念だなあという気持ちと、あればいいのになあという願望はありました。とはいえ嘆いていても仕方ありませんから、中高の先生になることも視野に入れて進路を考えることにしました。
 小さい頃からの夢だった小学校の先生になるため国立大学の教員養成系も考えて情報収集していましたが、最後には学習院大学に進学することに決めました。中高6年間通った学習院が大好きになっていたからです。もともと教科の中では数学に一番興味がありましたので、理学部数学科に進んで中学校の数学の先生を目指すことにしました。

 

 4年後に縁あって母校である中等科に採用していただき、13年勤務しました。大好きな母校での勤務はとても充実したものでした。それゆえずっと中等科にいるものと思っておりましたが、人生は何が起こるかわかりません。恩師である佐藤喜久雄先生のご逝去にともなって、私が後任として大学の教職課程に異動になります。中高の教員養成に携わることになったのです。
 そうなると、当然小学校の教員養成も視野に入ってきます。学会や研究会、講演先等で全国の魅力的な小学校の先生方にお会いするたびに、学習院で小学校教員養成をという夢がどんどん膨らんでいきます。

 

 30年越しの夢の実現に向けて。
 学習院に小学校教員養成をする教育学科があればいいなと高校生の時に漠然と思っていた夢を実現しようと。学生たちにいつも夢を諦めるなと言っている以上、自分も頑張らないといけません。幸いにも周囲の方々のさまざまな理解と協力があって、開設にこぎ着けることができました。感謝の気持ちでいっぱいです。

 

 もう一つの夢である自分が小学校の教員になることはできませんでしたが、優秀な小学校の教員を育てることを通して「間接的な夢の実現」を目指すことにします。でも不思議なもので、何が自分を動かしたのかはわかりませんが、2009年には一念発起して小学校の教員免許を取得しました。今後免許を使うことはないと思いますが、なぜかどうしても取得しておきたかったのです。教育学科の教育に役立てるというのは理由としてあったと思います。家では娘のピアノを借りて弾き歌いの練習、近所の公園の鉄棒を拝借して逆上がりの練習。40代のおじさんが、です。

 

 人生、何が起こるかわかりません。
 でも諦めなければ必ず夢は叶う。学生たちには、そう語っていきたいと思います。

 

2013/2/8 息子の誕生日に